越えていくバイオレットライン(前編)

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「もう最後ぉ?こういちのみすぎー」 「つよしもめっちゃ飲んでたし!あーなんかあっつい!」 お互い完全に酔って、呂律もうまく回っていない。 「こういち顔あかいもん。んふふっ。俺もあつーい」 「うひゃひゃひゃっ!つよしめっちゃ暑そう。ほっぺとか真っ赤…」 そう言って剛の赤い頬に指を触れた。 その途端、俺の指に甘い刺激が走った。 それと同時に火花が散りそうなほど剛と視線がぶつかった。 手を離さなきゃ。 頭ではわかっていても体が言うことを聞かない。 テレビの音が遠のき、部屋の空気が変わる。 お互いまったく動けない。 ふたりの時間が、止まる。 ふと、剛が目を伏せた。 その表情で俺の体温は二度くらい上がった気がする。 それが合図だったというように、俺はゆっくり剛の唇に自分のそれを近づけた。 そして、あまりにも自然に唇が重なる。 触れるだけ。それだけでも触れ合う唇が熱くて、くらくらと眩暈がした。 しかし、どちらが求めたわけでもないのに、だんだんと深くなる口づけ。 俺はどうしようもないほどに興奮してきて、何度も剛の唇を吸った。 「んっ…はぁ……ふ…っ」 剛の漏らす声が俺をぞくりとさせる。 もっと、もっと欲しい、剛。 もっと息を注いで。  
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