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幸か不幸か、次に俺が光一に会ったのはそれから二週間も経ってからだった。
一人で雑誌撮影の仕事の後、ふたりでのラジオの収録だった。
ラジオ収録は番組の収録と違って楽屋が別だからいい。
でも、ラジオはどんな番組よりも素だからな…
話さないわけにもいかないし、それどころかぎこちないわけにもいかない。
でも、今まで通りに話すなんて到底無理かもしれない。
頑張って、無理して、笑うしか。
こんな逃げてばかりいてはいけないのはわかっているけれど、とても堪えられない。
前ようなふたりに戻りたい。
やっぱりあまりにも多くのことを望んだから罰が当たったのだ。
あんなにも優しく強く美しい人間がただ隣にいてくれるだけで、俺は十分すぎるほど幸せなのに。
愛されたいなんて、おこがましい。
そう、おこがましい。
はずなのに。
俺は光一を愛してる。光一に愛されたい。
自分で自分が嫌になる。
こんな気持ち消えちゃえよ。
いっそ大嫌いになってしまいたい。
「剛さん、スタンバイお願いしまーす」
一人で思いに沈んでいるうちに時間になったようだ。
一生懸命、笑わなくちゃ。
今まで腐るほど顔を突き合わせてきたのに、今日ほど光一の顔を見るのに覚悟がいったことはなかった。
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