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「なんで、自分だけそうやって責めるん?ひどいやんか。俺だって同じや。今までのことは俺も望んでた。それに相方以上でもそれ以下でもないなんて悲しいこと言わんでよ。……わかってんねん、自分でも変なこと言ってるって。でももうあかんねん」
俺は堰を切ったように話した。
涙が出ているのにすらすらと言葉が出てくるし、いつもは出さないような大きな声で俺自身驚いた。
光一も驚いたのか何も言わず俺を見る。
「俺も、光一がすき。ずっとずっと前から」
俺が言うと光一は今にも泣きそうな顔して俯いた。
「せやから、顔見せて、光一」
光一はしばらくそのままで、そしてゆっくりと顔をあげた。
「剛…、本気なん…?」
「おん」
「でも、きっと、辛いで」
光一のその言葉には、様々な意味が込められていた。
これから起こるであろうことはきっと楽しいことばかりじゃない。
たぶん苦しいことの方が多い。
でも構わない。
俺たちなら越えられる。
俺は涙を拭いて笑った。
「光一となら平気や。ずっとふたりで乗り越えてきたやん」
「剛…」
光一が俺の体に飛びつくように腕を回した。
ものすごい力で抱きしめるから苦しい。
「やっと…やっとやな…」
「うん…」
「ごめんな、剛」
「なんで、謝んねん…っつか、くるし…っ」
「あっ悪い!」
光一は慌ててぱっと離れた。
そしてふと眼をそらしてぽつり
「つい、嬉しくて…」
と呟いた。
「んふふっ照れとるん?かわいーなあ」
「うっせ!知らんわ!」
光一が照れるものだからこっちまで照れ臭い。
すると光一が突然真剣な顔をした。
光一は俺をしっかり見据えた。
「俺がお前を守るから。絶対に守ってみせるからな」
ああ、なんだ。そんなことなら。あなたはずっと俺を守ってきてくれたじゃないか。
今更、知ってる。
「うん、守って。俺を。俺たちを。俺も光一を守るから」
俺たちは笑った。
そして、キスをした。
そして、一緒に眠った。
幸せな夜だった。
すべてはまたここからはじまる。
君となら境界線を越えてどこまでも行ける
fin.
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