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しばらく経って、剛は少し落ち着いてきた。
すると、剛は泣き疲れたのと、ホットミルクのせいで少し眠たくなってきた。
光一はそんな些細な剛の様子に気づいた。
「剛、寝ようか」
「え?」
繋いだ手のまま、光一は半ば強引に剛を寝室まで引っ張っていった。
そして剛をベッドのふちに座らせた。
「え、え?なんなん?」
「ええから。何も気にするな。ゆっくり寝たら、きっと大丈夫。な」
光一は優しい目で剛を見た。
その目を見ると、剛は何も言えなくなってしまう。
「じゃあ、おやすみな」
光一は剛の髪をくしゃ、と掴んで部屋を出て行こうとした。
「光一!」
剛は思わず呼び止めた。
べつに意味なんてなかった。
ただ部屋を出て行こうとする光一の背中が哀しくて愛おしかった。
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