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「この程度!」
未だ止むことの無い粉塵、それを気に止める事なく、時雨は刀を地面に突き刺し、両腕を正面に。
そして、頭の中に発動させる魔術を思い浮かべ、魔力を流し込む。
「甘いぞ!」
吐き捨てられる言葉、刹那、時雨を中心に突風が巻き起こり、粉塵がみるまに消滅、それとともに雪乃の姿が晒される。
「…!」
「そこか!」
発見、勿論見逃しはしない、直ぐに右手をかざし魔術を発動、周囲に光球が十数個展開。
バチバチ、と言う異様な音が術の威力を感じさせる。
「終わらせる!」
咆哮一閃、言葉を終えると共に光球が雪乃に飛び掛かる。
風を引き裂く音、凶悪な光球は前後左右むらなく軌道をうめつくし強襲。
逃げ場は無い。
「くっ!」
呻く様に状況を確認。
しかしこれだけの数、回避するなど不可能に近い、防御するにも飛来する光球はかなりの威力、抑え切れない。
自分の力の無力さに、はがみし嫌悪してしまう。
あれ程怒りを感じても結局は力の前に屈服してしまうのか。
怒りや悲しみでは何も変えられないのか。
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