558人が本棚に入れています
本棚に追加
達樹はセイが出て行ってからしばらく怒っていたが、それも波が引いたようでゲラゲラ笑いながらテレビを見ていた。
「ねぇ、達樹」
「何だ?」
捺樹が話しかけてくるのに達樹はテレビ画面から目を離さず答える。
「あのさ……」
何やら言いづらそうに捺樹はもごもごとしている。
そんな捺樹の様子に達樹は気付きもせず、テレビでやっているお笑い番組を見て一人で腹を抱えて大笑いしている。
「さっきの、バリバリくんのことなんだけどさ……」
バリバリくんという単語を聞いて達樹の眉間にしわが寄る。
見るからに不機嫌そうだ。
そんな達樹に捺樹はビクビクしながら口を開く。
「あのさ、バリバリくん食べたの、晴明様じゃなくって、僕なんだ……」
「はいっ!?」
捺樹の口から出た衝撃的な事実に達樹は思わず聞き返す。
「だから、バリバリくん食べたの僕なんだ」
「捺樹が……? 犯人ってこと……?」
「うん」
あまりのことに達樹は金魚のように口をパクパクさせている。
「ごめん、達樹がそんなに大事にしてるなんて思わなくって……」
申し訳なさそうに眉をハの字にして捺樹が謝る。
「ばっか、おまっ、何でそれ早く言わねーの!?」
「だって、言おうとしたら達樹がお前は黙ってろって言うから言えなくって!」
達樹の剣幕に負けないくらいの勢いで捺樹は叫ぶ。
「いや、確かに言ったけど……、って、マジかぁ~……」
そう言いながら達樹は頭を抱える。
最初のコメントを投稿しよう!