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四神将と言うのはその昔セイがまだ平安の世で活躍していた時代、セイが使役していた者達で、少し前まで達樹達の母親の実家である鞍隆寺(あんりゅうじ)で捺樹のお世話係として仕えていた。
捺樹が鞍隆寺を後にする時に一緒に彼らも付いてきたのだ。
それからというもの今まで母親と二人で広過ぎるな、と思っていた家が狭く感じている達樹なのだった。
「どうしたの、変な声出して」
「どうされましたか、達樹様」
母親と四神将の一人、百花が口々に問いかける。
それに達樹は振り返ると手にしていた手紙を母親に渡す。
母親は渡された手紙を見て目を丸くする。
「セイ、誘拐されちゃったみたい……」
ハハッ、と力なく達樹は笑う。
その言葉に他の四神将達も驚きの表情になる。
そして母親の持っていた手紙を我先にと奪い合う。
「母さん、そこに書かれてる御堂本家の宗主って誰?」
「修一さん……お父さんの弟さんよ」
「弟?」
「ええ、御堂賢次郎、お父さんが御堂家を出てすぐに御堂本家の宗主になったって聞いたことあるわ」
「へ~、すごいね」
(そんな人がセイをどうする気だ……?)
御堂本家、宗主の意図が見えなくて達樹は眉間にしわを寄せて考え込む。
が、いくら考えたって当事者でない達樹にその意図なんか分かる訳もなく、すぐに考えるのをやめた。
「とりあえず、セイを助けにいかなくっちゃな……」
ポツリと達樹は呟く。
その言葉に捺樹と四神将達は反応し、頷く。
「うん、そうだよね。晴明様を助けなきゃ!」
「はいっ!」
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