誘拐ですか!?

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 力強くそう宣言する捺樹達に達樹は目を丸くさせる。 「え……? もしかしてお前らも一緒に来るの?」 「もちろんだよ、達樹!」 「晴明様の危機に何もせず待っているなんて出来ません!」 「あ……あ、そう……」  捺樹と四神将の一人紅牙の勢いに圧倒されて達樹はそう頷くしかなかった。  とりあえず気を取り直して達樹は母親の方を向き、質問をする。 「母さん、御堂本家ってどこにあるの?」 「ここからだとちょっと遠いわよ」  達樹の質問に母親も真剣な表情で答える。 「遠くても行かなくちゃ。アイツ、もう俺から離れて大分経つから霊力がそんなに保たないと思うんだよね……」  達樹の心配はそこにあった。  セイの霊力が無くなること、すなわちそれはセイの存在が無くなるということ。それだけは避けたかった。 「そうね、そんなこと言ってられる状況じゃないものね」  母親もそう言うと一度リビングを出て自分の部屋に行き、何かを持って再びリビングに戻ってきた。  そして持って来たものをテーブルの上に広げる。それは地図のようだった。 「いい? 家がここよ」  そう言いながら母親が一点を指し示す。それに達樹は頷いて答える。 「そしてここが御堂本家」  母親は家を指し示していた場所から指をすぅと動かし、かなり離れた山の中へと移動させる。 「遠っっ!」  ざっとその距離を計算して達樹は思わずげんなりする。 「だから言ったじゃない、ここからだったらちょっと遠いわよって」 「ちょっと遠いって距離じゃなくね!? かなり遠いって部類に入るでしょ、これ」 「何? 母さんが嘘ついたとでも言いたいわけ?」 「そ……そうじゃないけど……、でもさ!」 「お母さん、そこまでどれくらいの時間で行けますか?」  達樹と母親がじゃれあってるのを無視して捺樹がそう訊ねる。 「そうね、電車を乗り継いでいって、この最寄り駅に着いたら後は徒歩だから……ざっと見て一日から一日半くらいかしら?」 「そんなに!?」  母親の言葉に再び達樹はげんなりする。  もういっそのことセイのことなんか見捨てちゃおうかな、って気分になってくる。  が、そんなこと言ってられないので重い腰を上げて達樹は出発の準備に取り掛かる。  その達樹の行動を見て捺樹達も各々準備を始める。
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