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新しい花火を袋から取り出す。蝋燭から火をもらうと、新しい光がふたりの顔を照らした。
「花火も・・・夏も」
蝋燭の炎がゆらゆらと揺れる。花火の光を見つめながら、奏子は呟く。
悠は、花火の光に照らされた奏子の顔を見ながら、微笑む。
「嘘つきだよね――・・・悠は」
りりん―――
風鈴の音が大きく響き、夜の空気に溶けた。
1年前、ふたりで雑貨屋に選びに行ったイルカの風鈴。
奏子の言葉に、悠の顔がこわばる。
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