2.静かに花火をした

4/6
前へ
/10ページ
次へ
「来年も、再来年も」 「・・・・・・」 「一緒にいようねって、言ったのに・・・」  ほとり、と奏子の瞳から涙が零れ落ちる。それは砂利の上に落ち、ぽつり、ぽつりとその色を変える。    悠は、そっと手を伸ばした。奏子の肩に触れようとする。触れられない。 その手は空を切り、闇を掴む。  もう、何度繰り返しただろう。声も、届かない。触れられない。ただ、見ているだけしかできない。それでも、それでも・・・。 「・・・ごめんな」    心配で、どうしても、離れられずに。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加