2.静かに花火をした

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 ふわり、と体が軽くなったような気がした。 (ああ・・・)  悠は、きっともう見ることのない奏子の顔を見た。真っ赤な目からぽろぽろと涙を零し――しかし、それを一生懸命に拭っている。  自分は、もう何もしてあげられないけれど。幸せになって欲しいと、祈るように悠は目を閉じた。  ゆっくりと、意識が遠ざかっていく。  奏子は袋から最後の線香花火を取り出した。 風が少し強くなり、ふうっと蝋燭の炎が消えた。 「あれ・・・?」  火がついていなかったはずの線香花火に、ほんのりと火がともっている。ぱちぱちとオレンジ色の小さな花が咲き、きらきらと砂利の上へと散ってゆく。 「どうして・・・」  線香花火の仄かな光を見つめていた奏子の瞳から、ほたり、と新しい涙がこぼれた。   りりん―――  夜風をうけて、風鈴の音が高く響いた。             
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