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彼女は週末になると大量のビールを抱えて僕の部屋を訪れ、僕の作った料理を食べて、翌朝に帰っていく。
3年前、一緒に暮らしていた恋人と別れてからの僕は、誰と付き合っても上手くいかなかった。終いには外に出かけることすら億劫になり、付き合いが悪くなった僕に辟易した友達は次々と去っていった。
そんな出不精の僕だから当然、彼女とはインターネットで知り合った。彼女も長く付き合っていた恋人と別れたばかりだという。
僕より少しばかり年上という以外、彼女の正確な年齢も本名も知らないままだったけれど、気がついたら3ヶ月を過ぎていた。彼女と過ごす週末のひとときは思いのほか楽しい。
「焼けた?」
「あと1分少々お待ちを」
僕はキッチンまで覗きにきた彼女に4本目のビールを差し出す。
「ねぇ、わたしの名前を当ててみて?」
彼女が唐突に言った。
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