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「──それがあなたの恋人だった彼女の名前?」
オーブンのアラームが鳴る。
3ヶ月前、僕たちは賭けをした。別れた恋人の名前を先に聞き出すことができたほうが勝ち──という自虐的な賭けを。
「負けたほうは何でも言うことを聞く──って約束だったよね?」
「はい」
「私の新しい恋人になって」
賭けに負けたことが悔やまれてならない。
そのセリフは僕が言いたかったのに。
僕は焼き上がったピザトーストを皿に移し、たっぷりとハチミツをかけた。
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