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残業拒否して定時で退社したクリスマス・イヴの夜。
三ヶ月ほど前から付き合っていた同期の男から、
『ごめん、今日は行けない。前から気になってた総務課のエリちゃんを食事に誘ったらOKだって。レストラン予約しておいてよかった~。そんなわけで今から彼女とデート! 健闘を祈ってくれ♪』
ってなメールが来たとき、わたしは彼のためにフライドチキンを揚げていた。
彼とわたしは付き合い始めた翌月から隔週でエッチもしてる間柄だっていうのに、どうやら付き合ってると思ってたのはわたしだけだったようで。
ぬぁにが「クリスマスはキミの部屋でキミの手料理が食べたいな♪」だよ、くそったれがっ! 貴様の本命はエリちゃんでわたしは単なる当て馬だったんかいっ!
……とか何とか罵ってやりたかったけど、ささやかなプライドが邪魔をする。
『あーそうなんだ? よかったね』
という当たり障りのない返信を打つのに十五分もかかり、ふと気がついたら天ぷら鍋の中のフライドチキンは真っ黒な炭になっていた。
火事にならなかっただけマシだったと思うことにしよう。
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