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量産型ながら背の高いサンタクロースの顔を、わたしはクリスマスツリーのてっぺんに飾られた星を見上げるように見つめた。
「ああっ! もしかして一つ下の学年にいた尾上くん? チューバ担当の」
「はい、茉莉花先輩」
「うっそぉ~! やだ、すっごい偶然の再会!」
わたしはドアの外に出ると、サンタクロース改め吹奏楽部の後輩だった尾上くんとピザの箱を挟んで向き合った。
「何年振りになる? わたしが卒業して以来だから六年振り? あ、いや七年だっけ?」
「えーと、年が明けたら八年振りになるかと」
「あはは、ついサバ読んじゃった。元気だった?」
「はい──先輩もお元気でしたか?」
「まぁ元気っていやぁ元気よ、わたしは」
「昔と少しも変わってないですね、茉莉花先輩は」
「そうぉ? あっ、こんなところで立ち話もなんだから、ちょっとお茶でも飲んでく?」
「いえ、あの……配達中だから」
「あ、そうだったね。ごめんごめん」
わたしったら何を言ってるんだか?
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