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あぁ、そうだ。わたしは恋人にフラれたんだった。
それも、クリスマス・イヴに。
ああ、もう。尾上くんとの再会で高校時代を懐かしんでいたのに、回想が過去から現在に追いついた途端、思い出したくもないことを思い出してしまったじゃないか。
ってか、わたしったら尾上くんを見送ったときの姿勢でドアの外に佇んだままだし、足元を見たら靴も履いてないし。
手には尾上くんからもらったクーポンと、デリバリーのメニューが写真付きで載っているピザ屋さんのチラシ。ときどきポストに放り込まれていて、いつも見もしないでその場で捨てている。
「あ、そうだ。ピザを食べよう」
ふと思い立ち、わたしは部屋に戻ってバッグから財布を取り出すと、今度はちゃんと靴を履いて玄関を飛び出した。
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