Are you free tonigt?

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 階段を駆け下りてアパートの外に出ると、白いスクーターに乗ったサンタクロースは無事にピザの配達を終えて、わたしの目の前を走り去ろうとするところだった。 「──待って、尾上くん!」  聞こえなかったのか、そのまま行ってしまう。  と思いきや、交差点の手前でスクーターはピタリと停まり、Uターンで引き返してきてくれた。 「茉莉花先輩──」 「何時に終わるの?」 「えっ?」 「あ、仕事。今日は何時まで?」 「クリスマス・イヴだから忙しくて、何時になるか……」 「何時になってもいいから、終わったらピザを届けて」 「あ、あのっ……」 「チラシのいちばん最初に載ってたチキンと三種のキノコのピザ、Lサイズで」 「あ、はい」  キョトンとしながら応える尾上くんに、わたしは財布から出した二枚の千円札とクーポンを一緒に渡す。 「それで足りるかな?」 「はい、消費税込みで二千八百円です」 「そう。じゃあ待ってるね」 「でも、本当に何時になるかわからないですよ?」 「どんなに遅くなってもいいわ。もしかしたら眠ってしまうかもだけど、インターホンを鳴らしてくれたら起きるし、わたしがもし起きてこなくても、玄関の鍵を開けておくから部屋に上がって起こして」 「だ、駄目です。鍵はちゃんとかけないと」 「じゃあ、合い鍵を預けておく。それならいい?」  わたしは尾上くんの手に、硬貨と一緒に財布に入れていた合い鍵を無理やり握らせた。
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