はじまり

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「初めて話し掛けてくれた人だからじゃないかなぁ?あ、じゃあ他見に行って来るわ。じゃあね」 愛希が気にしているのは勇気だ。 それがはっきりとわかった絆は、長居は無用とばかりに移動した。 次はテニス部へ足を運ぶ。 テニスは男女あるらしい。 テニスコートに着くと、そこは黄色い声が飛び交い賑やかだった。 フェンスを挟んで女子が騒いでいる。 お目当てはある男子先輩。 「キャ~。金沢せんぱ~い。頑張ってぇ~」 「金沢先輩、ファイト!」 うるさいくらい耳につく。 ムッとしながらコートを覗くと、爽やかにプレイする金沢 沙奈紀-カナザワ サナギ-の姿。 テニス部でかっこいいと崇められている先輩のようだ(周りにいた1人に聞いた)。 「誰か、してみないかい?」 歯が一瞬光って見えた(気がした)。 キザだ。 そうとしか思えない。 しかも、女子にしか言ってない。 先輩の言葉に、そこにいた女子が次々と手を上げる。 我先にと言わんばかりの勢いで身を乗り出し、競っていた。
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