🎶⚠Ｓｅｃｒｅｔ⚠🎶

はじまり

｢そうか。残念だなぁ～。君なら全国、狙えそうなのに。まぁ、本人がそう言ってるんじゃ仕方ないか。またいつか遊びに来いよ。いつでも歓迎するからさ。あ、君の名は？｣

どんな人間にも１つくらいは良い所があるもんだ。
受け答えに先程までのキザさが消えて、スポーツマンらしくなっている。

｢１年１組。新呈　絆｣

少しは先輩を立ててやろうかと、名を名乗ってから気付く。
コートの周りが今までと違う賑わいを見せていることに。

｢制服のまましたのが効いたかな？男子の連中を惹きつけてくれたようだ｣

｢な…｣

ニヤリと笑う金沢。
彼の本来の目的がそこにあった。

絆は着替えずにスカートでプレイしていた。
動くたびにスカートは揺れ、そこから伸びる綺麗でしなやかな脚とギリギリのラインのドキドキ感が男子の目を惹きつけていたのだ。

｢失礼しますッ！｣

前言撤回！！
いや、記憶から削除だ。

今度は笑みを作ることもなく、睨みつけてその場を去った。

それからいろいろ周り、絆は本来の目的であった陸上部を見学し即決で決めた。

こんなことなら、真っ直ぐに行くべきだったと後悔もしたが。
新たに出会えた人もいる。

これからはじまるこの学園での生活にワクワクと胸が躍っている。
絆はフフと笑って走りだした。