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転校して3日目。
ある男子に勇気にされた質問とよく似た質問をされた。
「ねぇ。君って、魔法使いなんだろ?詳しく聞かせてよ」
彼の場合は疑問であって疑問ではなかった。
最初からその事実を信じているという口ぶり。
声をかけられ振り返る。
質問を投げかけてきた彼を見て、ドキッと胸が跳ねた。
その違和感を感じたが、そんなことよりもなぜ自分の秘密を知っているのかが気になった。
勇気が話したとは考えにくい。
「なぜ?そんなことありえると思うの?」
「ありえるだろ。だって噂でそう聞いたし」
根拠は噂のみ。
彼は勇気と同じ、噂を信じた人間だった。
「…ただの噂だと思わなかったの?」
「そりゃ思った。でも、君見て変わったんだ。何だかわからないけど、神秘的なものを感じて、確信した。天性の勘ってやつ?」
ニヤリと不敵に笑う。
でもそこにいやらしさはない。
絆は彼を変な人だと認識した。
だが、内心嬉しかった。
また1人、自分を知ってくれる人ができる予感がしていたからだ。
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