はじまり

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「起立、礼。着席」 タイミングを見て号令がかかり、それをきっかけに声が止んだ。 静かな空気、緊張と興味津々といった視線が彼女に注がれる。 担任は手元の名簿を眺めつつ、紹介を始める。 「この度、1人仲間が増えることになった。名前は新呈 絆さん。まず、彼女に自己紹介してもらおう」 担任は男性。 年は27、8といったところ。 生徒に向かって敬語は使っていないところを見ると、それなりに信頼を得ているようだ。 「紹介のとおり、名前は絆です。親の事情により、この学校に転校してきました。よろしくお願いします。仲良くして下さいね」 形式的な挨拶の言葉が口からスラスラと出てくる。 そこに笑顔を添えて好印象。 バッチリだ。 何事も初めは猫をかぶっておかないと。 後々、面倒なことに巻き込まれない為。 『うん。仲良くしよ~ね~』 スケベ心丸出しといった態度の男子の言葉。 ゾゾゾォォォ、と背中に悪寒が走る。 だぁぁぁぁ。寒気がする。 「ちょっと!あんた達!」 女子の怒りの声が飛ぶ。 そこには本気の怒りが見えて、やはり仲が悪いのか? と思わせる。 何とも面白いクラスのようだ。
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