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転校生の紹介が終わると朝のHRが始まる。
「ねぇ、絆さん。君って魔法が使えるの?」
HRを何気なく聞いていると、隣からド直球の質問がコソっと飛び込んで来る。
顔をそちらに向けると、子供のようにキラキラと瞳を輝かせ好奇心剥き出しの顔をしている小橋君の姿があった。
「君は小橋君だったよね。名前は?」
まず問いには答えず、質問で返す。
「勇気-ユウキ-。で、さっきの答えは?」
興味津々で聞く彼。
どうしても聞きたいらしい。
絆は自分が魔女であることに少し引け目を感じていた。
自分が特別な存在であることを、よく思わない者達もいる。
それを理解しているから、自分が魔法使いだなどということは伏せておきたい。
それに本当の意味での“魔法”はまだ使えない。
今は“超能力”のが表現としてあっている。
めいっぱいの微笑みを浮かべて聞き返した。
「君はどうして、そんなこと聞くの?」
彼の反応を伺う。
勇気の真意を知らなくては、語ることのできない内容。
素直に答えることはしない。
「噂を聞いたんだ。君が来る少し前に広まってた。みんなそんなこと信じてないけど、何となく気になって」
何となく、という理由に絆は少し考え込む。
彼の顔には好奇心しか見えない。
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