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―放課後―
絆はかなり急いでいた。
HRが終了すると同時に鞄を引っ掴んで教室を飛び出す。
急いでいる理由は母親との約束。
『今日は転校して初日だから、夕飯は外で!』
などと言い出したので、早く帰る必要があった。
門を出てすぐ曲がると、そこで不良連中とぶつかってしまった。
近くを通りかかった勇気が心配して走って駆けつける。
「ごめんなさい。急いでいたもので」
頭を下げ謝ったのだが、それで許してくれるほど不良の先輩方は甘くない。
柄の悪いお兄さん方はギロリとにらみつけ、
「すみません、で済むか!」
予想通り怒鳴りつけてくる。
絆の顎に手をかけ、顔をグイッと持ち上げマジマジ見てきた。
「ほぉ。良い顔してんじゃんか。俺とkissしてくれたら、許してやってもいいぜ」
いやらしい視線で舐めまわすように見て、舌舐めずりをする。
その仕草に、絆は不快感が胸に溢れていく。
怒りのゲージがどんどん膨らんでいく。
ったく、こいつらは急いでる時に~~~!!
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