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パンパンと手を払い、呆然と立ち尽くしている勇気に声をかける。
「小橋君。…見たでしょ?これも力の影響。こんな力ばかりじゃないけど、悪いことに使えば人だって殺せちゃうかも…。だから、悪いことに使っちゃいけない力なんだよね」
軽く言っているように聞こえるが、真剣に語っていた。
力は決していいことばかりでない。
使い方を間違えば人を傷つけるもの。
力のことを知っている彼には、本当の事を知っておいてもらう必要があった。
「そっか…そうだよね。わかったよ。でも、でもさ、めっちゃかっこよかった。…俺って男なのに女の子のこと守れないで、かっこ悪い…」
シュンと頭を垂れて落ち込んでしまう勇気。
「いいのよ、私は。でも、他の子の時は頑張って守らないとね」
ポンと背中を叩いて励ます。
本当に純で可愛い奴だ。
と笑ってしまう。
まだお互いが猫を被っている状態だが、少し打ち解けられた気がした。
「あ、ごめん。急いでるんだった。それじゃ、また明日ね」
「うん。明日」
勇気に別れを告げ、絆は帰宅した。
転校早々、いざこざを起こしてしまった。
これもやはり力の所為かもしれない。
何処へ行っても何らかの問題がついて回る。
それが“力”を持ってしまった者の運命なのだ。
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