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「…やったか…!?」
緑羽根が息をあらげながら呟く。
「…見るに耐えんな。フェレナも、人間どもも。」
扉の奥から、先ほどの男の声が響いた。
「私なら、攻撃させる暇も与えん。」
「…澪音、あなたはウィルジントンと戦った事がないでしょう?
彼らはこういう攻撃が得意なのです。不意打ちという、臆病な方法が。」
煙が瞬時に晴れ、無傷のフェレナが立ち上がる。
その背後の扉から、“澪音”と呼ばれた男が姿を現していた。
短髪に黒のサングラス。
どことなく赤羽根を思い起こさせる黒のスーツ。
そして首と腕に巻かれた金色の鎖と、胸に輝く赤い稲妻型のバッジが、黒を背景に映えていた。
「澪音…てめぇ……!!」
唯一攻撃を仕掛けなかったラジウスが、唸り声をあげる。
澪音は僅かに顔を傾けると、唇の端を歪めた。
「あぁ…ラジウス、君か。しばらく会わないうちに、ますます低俗らしくなったな。
どうかね、人間界での暮らしは?人間に囲まれた生活は、さぞかし過ごしやすいだろう?」
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