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「と当然だ、気を付けて行ってくるがいい!!」
あの顔で言われれば強がって、こう答えるしか無いじゃ無いか。
全く、晃輝は本当に卑怯だ。
「それではお嬢様、僕はこれで失礼させて頂きます」
晃輝は部屋の大きな扉を開け、振り返ることすら無く出て行ってしまった。もう少しくらい一時の別れを惜しんでくれてもイイじゃ無いか。
「美夜子、隠れて無いで出てこい」
そう呼ぶと漆黒の装束を着た黒髪の美女が、膝を付いた状態で突然私の目の前に現れた。
「気付いていたとは流石ですよ、弥生」
この姫神家の屋敷で私を呼び捨てにするのは両親以外で二人しかいない、その内の一人はこの赤崎美夜子、私直属の隠密である。
「常に気配を消している晃輝が側にいるんだ、気配くらい読めるように成る」
わざと側に居ると言う所を強調して言った。
これは私の直感だが、美夜子は晃輝に対して好意を寄せているのでは無いかと思うのだ。
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