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紅玲の横で話を聞いていたカイが、オロオロと二人を交互に見る。
「…フ…二人トモ…、ナ…仲良ク…」
心底困った顔でいたカイに気付いた孝介は、先ほどとは違う優しい笑みを浮かべた。
「怒ってなんかいないんだよ」
僕も、紅玲も。
その言葉にカイは、ホッと胸を撫で下ろした。
「オトーサンモ、紅玲モ、好キ…ダカラ、ケンカ…ダメ」
紅玲は、本当に変な魔鬼を拾ってしまったと思った。
魔鬼は、人間と同じ感情を持っているんだな。
くすり、と心の中で笑った。
「…ク…紅玲…?」
心の中だけかと思ったが、どうやら表に現れてしまっていたらしい。
カイが不思議そうな顔で、紅玲を覗き込む。
「カイは不思議だな」
そう言って笑いかけると、嬉しそうに顔を手で覆う。
そういえば、もう一人いたな、不思議なのが。
今日出会った妖魔を思い出す。
『また会いに来てやるよ』
二度と会いたくないはずなのに、会えることを楽しみに思う自分がいることに、紅玲は気付いた。
名前も知らないのに…。
振り切ろうと、見上げた空には、すでに高く昇りきった月が見下ろしていた。
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