月夜の過去

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そこは、闇。 ただただ、広がる闇。 上も下も、右も左も、分からない。 生きているのかさえ、疑ってしまいそうなほど、何も見えない。 その中に、大小さまざまな大きさの岩が宙に浮いていた。 一番大きい岩の上に、月夜が座っていた。 そこだけ淡く光り、まるで闇夜に浮かぶ満月のようだった。 「…はぁ」 月夜は、小さくため息をついた。 しかし、他に音などない中で、それはとても響いた。 つまらないわ…。 理由は分かっていた。 満たされない…。 原因も知っていた。 殺したい、のだ。 この身体に流れる血が、求めている。 それからは、逃れられない。
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