4人が本棚に入れています
本棚に追加
紅玲は月夜の気配が完全に消えたのを確認して、屋敷へと戻った。
屋敷には、血相を変えた使用人が待ち構えていた。
「お嬢様!そのような薄着で…!風邪でもお召しになられたら…」
中年の使用人が、上着を持ってくるよう若い使用人に伝える。
「大丈夫だ。それよりあの人はまだか?」
紅玲は問い掛けながら、草履を脱ぎ、屋敷へとあがる。
「はい。先日より何も…」
中年の使用人は申し訳なさそうに頭を下げる。
まったく、こんな時に…。
紅玲は心の中で毒づく。
「紅玲様、ご朝食の準備が調いました」
上着を持ってきた使用人と、別の使用人が朝食を伝え、紅玲は奥の部屋へと消えて行った。
最初のコメントを投稿しよう!