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もう、わかっていた。
なぜ、佐藤さんが来たのか。
僕を、スカウトしに来た。
きっと、そうだ。
「お父様でいらっしゃいますか。私、埼玉バタフライズスカウト主任の佐藤一郎と申します。本日は、山仲里志君のドラフト指名に付いてのお願いとご説明に参りました。」
佐藤は、名刺を渡しながら言った。
「いきなりで、申し訳ありませんが私、佐藤そして埼玉バタフライズは、里志君をエースへ育てる自信があります。」
「佐藤さん、あなたはスカウトの方では?」
父がすっと尋ねた。
「はい、私はスカウトです、が来年つまり、このシーズンから二軍では、ありますが、投手のコーチをやらして頂けることになりました。」
「それは、すごいですね。」
「恐れ入ります。と私の話しをしても意味がありませんので、早速……」
そう言い、佐藤は、カバンから一つの封筒を出した。
契約内容だ。
佐藤が読み上げる。
「恐らく、プロ入りについてのお話はされていると思いますので、契約についてご説明致します。まず、契約金は6000万円年俸は、500万円+出来高になります。」
「佐藤さん、こいつはそんなにお金を払ってまで必要なんですか。決断力はないし、何をするにもイマイチですし…」
俺は、黙っていた。
「ええ、必要です。私達バタフライズは、里志君のそういうところも含め、入団していただきたいと思っております。それに、私は、里志君をエースに育てたいのです。」
「私自身は、プロ入りには、賛成でもなく反対でもないのですが、結局は、里志の決断だと思っております。」
「里志君は、どう思ってる。」
いきなり、言われた事について動揺を隠せそうにない。
しかし、もう決まっていたのではっきりと言った。
「バタフライズへの入団を希望します。」
佐藤は、父と目を合わせる。
「そうか、やっていけるか?」
「大丈夫だよ。」
佐藤さんは、軽く笑い、
「そうですか、それでは入団を待っています。」
と言い、挨拶をして家を出ていった。
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