30歳のバースディ

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職場の近くに出来た、おしゃれなカフェレストラン。 メニューは有機野菜のなんとかとか、ヘルシーなんとかとか、横文字が並ぶ。 間宮がはしゃぎながらすすめてくれた、バーニャカウダを頼む。 運ばれて来てびっくり! こんな野菜だけでお腹が満たされるのか。 間宮は満足そうに口に含むと、おいしいと言って笑った。 「あんたさぁ、こんなんで1500円も払うの悔しくない?」 私の言葉に間宮は吹き出した。 「やだぁ、チーフ、発言がおばちゃんになってますよ」 「な、な、なによ!だってお腹いっぱいにならないでしょ!」 「揚げ物のガッツリ系ランチなんて最近の若い女の子は食べないんですよ?ティーン向けの商品を扱う立場として、こういう流行りのランチを楽しむのもいいじゃないですかぁ」 間宮の言うことも一理あるけど。 私は納得出来ないまま、バーニャカウダを口にした。 まぁ、悪くない。 それにしても、チーズじゃないチーズフォンデュみたいな食べ物だ。 これじゃ、満たされない。 私は店員を呼び、生ハムのサラダと白身魚のカルパッチョを注文した。 ネーミングがオシャレで尚且つ、知っている物。量には妥協しての注文。 前菜ばっかりで満たされないのはわかっていたけど、意地を張ってしまった。 間宮は終始ニヤニヤして私を見ていた。
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