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北村学と大塚貴。小・中・高と同じ学校であり、親友だった2人。彼らは同じ目標を持っていた。「プロレスラーになりたい」
そして、その夢は現実になった。2人は名門団体・超日本プロレスに入団した。2人はある約束を交わした。
「一緒にトップに立って、最高の舞台で1対1で戦おう」
その約束を果たすために、2人は練習に明け暮れ、同じ日にデビューを果たした。しかし、トップへの道は、やはり険しいものだった。2人は何度かチャンスを得るものの、生かしきれないことが続いた。10年目になって、北村が右膝を負傷した。そのケガは、北村の選手生命を危うくさせるほどだった。そんな中、大塚のヘビー級王座挑戦が決まる。北村はその試合を病室のテレビで観戦することになった。結果は…大塚が勝利。遂に頂点に立った。
「大塚が遂にやったか…俺はこんな状態だし…安心して引退できるのかな…」
翌日、大塚が見舞いにきた。
「北村、俺遂にやったよ!」
「ああ、すごいな。おめでとう」
北村から元気のない返事。
「北村おまえどうしたんだよ。」
「実は…」
北村は今のケガの状態と、自分はもう引退すると告げた。
「ふざけんじゃねぇ!いつもの強気はどうしたんだよ。俺はお前とタイトルマッチやりたいっていう一心でこのベルト穫ったんだ。お前が戻ってきてくれないと…頼むから戻ってきてくれよ。お前が戻るまで俺はこのベルト守り続けるからな」
その言葉に北村は自分は間違っていたと感じた。そして復帰のために奮起し、驚異的な回復力で予定より2ヶ月早く復帰した。快進撃を続け、遂にベルト挑戦にこぎつけた。相手はもちろん大塚。「北村、遂に来たな。俺は一歩も引かないぞ」
「当たり前だ。俺は逃げない」
そして試合が始まった。一進一退の攻防となったが、最終的に勝ったのは北村だった。
「今日は負けた。お前、メチャクチャ強いな」
「何言ってんだ。お前だって世界中の誰よりも強いぞ」
2人はそう話した。2人にとって最高の一日となった。
しかし、これが2人が交わした最後の会話だった。翌日、大塚は心臓発作で亡くなった。実は生まれつき心臓に問題を抱えていて、家族以外誰も知らなかった。
北村は大塚の急死にショックを隠しきれなかったが、大塚の分も立派なレスラーになろうと決心。その後、プロレス界を代表するレスラーになった。
北村と大塚の友情は、大塚が死んでも生き続けた。それは、北村の心の中で大塚は生きていたから…
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