蛙,

ニュースと違和感.

“連続レイプ魔”
“幼女ハンター”

巷では僕のことを
そう呼んでいるようだ。

家に帰ると,

僕は真っ先にテレビをつける。

最近は
これが僕の日課になっていた。

18時のニュースでは
今日も僕の特集が組まれていた。

前髪を綺麗に分けた
中堅の女子アナが

『またもや,幼女が狙われました。』

と,低いトーンで切り出すと,

さっきまで
僕がいた百貨店が映し出され,

太ったリポーターが
早口で状況を説明した。

現場のインタビューでは

買い物帰りの婦人が

『本当に怖いですぅ…
早く捕まえてくれないとぉ
安心して買い物にも行けないわぁ…。』

と,困惑した声で話していた。

それからスタジオに
カメラが切り替わると,

犯罪心理学の教授だとかいう人が

『幼女を狙うということは,

“同年代に相手にされない”

というコンプレックスから
生まれる心理だと思われます。

これは
幼い頃のコミュニケーション不足と

両親の教育が…』

…とかなんとか,

分かった様に話し始めたので

僕は退屈になって
チャンネルを変えた。

僕は言いたい。

婦人よ,
安心して買い物をしてくれ。