私の時間

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淀みの刻: 私は、外が晴れていればいるだけ、部屋を薄暗くしようと努めている。 カーテンは厚手の青い生地で、太陽光のその殆どを遮り、部屋には少しの明るさを灯している。 それが私にはとても落ち着いた。 しかしだからと言って、決して真っ暗にする訳ではない。ただ真っ暗では、何の味気も無い。 部屋は薄暗くする。まるで明け方の太陽とは反対にある、蒼暗く延びる空のような神秘的な世界へと。 部屋のカーテンは閉める。が、私は窓自体は閉めなかった。窓からこぼれるの鳥の囀りや、柔らかく暖かな風。 何だかその不思議なコントラストが、夜と朝の混じったような世界が、とても慈愛に満ちているように感じられた。 部屋の空気は、あまり流れを知らない。だから、そこに同じ空気が漂っているかのように感じられる。 母や弟、祖母はそれを「辛気臭い」「空気が汚い」と言って、私の世界を邪魔しにかかる。 しかし、必ず空気がそこ留まっている訳ではない。 部屋に流れる微かな、本当に微かな風が、私の部屋に本の少しの安らぎを与えてくれている。 だから、決して息苦しくはない。寧ろ、外のように絶えず空気か入れ替わっていくような部屋は、何だか私の居場所でないようにさえ感じられて、落ち着けなかった。 少し淀んでいて、少しクリアな狭間の「部屋」という名の世界。 真っ暗ではないが蒼く沈んだ、微睡みを含んだこの場所の、ベッドの上、本棚、一輪挿しの黄色い花、天井。 お世辞にも綺麗と言えない「世界」の中、私はただ呆然と夜が更けるのを待ち望んでいる。 カーテン越しの窓は、未だ開け放たれたままに…。
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