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早朝に目覚めたバージル。玄関の方から微かに聞こえる、カリカリ…と言う音が耳障りで眠れなくなってしまったのだ。
ごろりと寝返りをうつとダンテの顔があった。無防備に眠っている弟の髪に触れる。普段は硬くて冷たい武器しか握らない手に当たる、軟らかくて温かい感触が心を和ませる。
つかの間の安らぎに身を委ねることは、バージルにとって刹那的な癒しとなる。
それ以上にダンテの寝顔が何よりの癒しとなるのだ。
「お前だけは、失うわけにいかない…」
幼い頃に思い続けた、戦いのない暮らし。たが、自分達が悪魔である以上さけては通れない。
それでも思わずにいられない父のある暮らし、母の温もり。
せめて弟だけは守り通す。
自問自答の中で見つけ出せるものは、お前のためになるか?
「なぁ、ダンテ…」
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