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玄関の不快な音が気になり、バージルは布団を出ようとした。
が、寝ぼけたダンテに手首を掴まれ出るに出られない。まるで行くなとでも言いたそうに、唇が微かに動いた。
「困った奴…」
バージルは苦笑いしながらダンテの手を解く。
それから、じっとダンテの寝顔を見つめ、唇にそっと触れた。
「お前が、行くななんて言ったら…俺は何処にも行けなくなるだろうな」
そんな言葉、口にするはずないこと等分かっている。お互いに干渉されるのを好まない性格で、双子故に自分達の領域を侵さない事を合意している。
それでも、甘えられるのは決して悪い気がしない。
それはバージルにとって、ダンテに対してだけ抱く特別な感情である。
無防備な寝顔に近付き、唇が触れた瞬間…
オールバックにした前髪がはらりと崩れた。
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