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心地よい夜風が髪を揺らし、目覚めたダンテ。
くしゃくしゃと頭をかくとベッドの横にある小さな円形のテーブルに手を伸ばした。
まだ寝ぼけているらしく飲みかけのワインボトルを倒してしまう。
ゴト…
「ッ?!」
飛び起き、ボトルを起こしたが中身の半分は既に絨毯を赤く染めていた。
「はぁ~」
溜め息をつき布団を剥いでベッドから降りようとすると、隣から小さな声が…
「…寒い」
ダンテは思わず布団を全部剥ぎ取った。
「…」
そこにはバージルの姿があった。ジーンズだけ履いた恰好で横になっている。首元でキラリと光るアミュレット。
「おい、何やってる…出るのか出ないのかはっきりしろ」
眠たそうな目でジロリと睨むバージル。
慌てて布団をかけ直すダンテ。いつも知らぬ間に出て行き、知らぬ間に帰ってくる。今日だって眠る時はいなかったのに今はこうしてダンテのベッドに潜り込んでいる自由気儘な兄。
それでも愛しくて仕方ないのか、ダンテはワインの事等忘れベッドの中で目を瞑る。
独りの時には感じられない人肌の温もり、大きくてフカフカの枕に顔を埋める兄を三日月が美しく照らしているのを眺めながら
また知らぬ間に出かけてしまうだろうと思うと寂しくなるのだった。
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