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布団からはみ出した足がじんわりと温かい。正午過ぎの太陽がダンテの足に届いたからだ。
瞼も陽の光をとらえ、嫌でも眠気が覚めてしまう。そしてダンテの顔にフワフワとした何かが触れる。
「ん…くすぐったいなバージル」
「ニャア」
思いもよらぬ返答にパチッと片目を開けるダンテ。
そこにいたのは一匹の黒猫だった。怠い体を起こしてベッドを確認するとバージルの姿はない。部屋のドアは開け放されていた。
ぼんやりと部屋を見つめてから、黒猫に手を伸ばす。優しく抱き上げるとおでこをコツンと当てた。
「何処から来たんだ?」
「玄関から勝手に入ってきたぞ」
「?!」
はっとなって顔を上げると風呂上がりのバージルが濡れた髪をタオルで乾かしながら歩いて来た。
驚いて黙っているダンテ。
「猫とはニコニコ話せても、俺とは話せないのか?」
意地悪い言葉にムッとなるダンテ。
「なんだよ急に帰って来たと思ったら…だいたいニコニコなんてしてないだろ?!」
「帰って来られたら迷惑だったのか、じゃ直ぐに出てく」
「そんな事言ってないだろ!」
怒りながらベッドを降り、バージルからタオルを取り上げるとシャワーを浴びて来ると言って風呂場に行ってしまった。
クスクス笑いながら黒猫の横に腰掛けるバージル。濡れた髪からポタポタ落ちる雫が肩を伝う。
「若いな」
「ニャア~」
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