第四章 【奇跡】

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 引き金は、突然弾かれた。 いつものショッピング中。何気なく、彼女がつぶやいた。 「私たち、知り合って長いよねぇ。 あのさ、ずっと見てたの知ってた?」 タガが外れた。 彼女を睨み付け、デパートの通路で、思い切り抱き締めた。 驚いて持っていたバッグを落とす彼女。 慌てる顔を押さえ、キスをした。 抵抗は、一瞬でなくなった。 黙ったまま、車を走らせる。 うつむいたままの彼女の手を握ると、両手で握り返す。  見つけたピンクの照明の安ホテル。 一言も交わすことなく鍵を閉めた。
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