衝撃の別れ

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パタパタパタ… 踵を踏み潰した上履きが軽い音をたて、人気がない廊下に響いていく。 大親友の玲奈に相談があると言われて待っていたのだが、当の玲奈が先生に呼び出されていたので暇を持て余した桜はトイレに行っていた。 手洗い場の鏡で髪型やメイクを直し、出ようとした時にピアスが片方ない事に気がついた。そのピアスは、クリスマスに玲奈とお揃いで買った宝物だった。慌てて足元を見渡しても落ちていない。いつから無くなったか思い出そうとしても、解らない。「探している時には出て来ないもの。忘れた事に出てくるはず!」と、無理矢理だが自分を納得させてトイレを出た。 電気のついていない廊下はうす暗い。まだ5時前なのに辺りは暗くなりはじめていた。 ほんの少しトイレに行くつもりが、長く居すぎてしまった…と、教室で待っているであろう玲奈の元へ桜は足早に向かったのだ。
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