戻りし力にひかれる者

20/20
888人が本棚に入れています
本棚に追加
/160ページ
人狩りとはその名の通り、人を狩り、そして売る、人身売買の商人のことだ 基本彼らは普通の商人になりすまして国や都市の中で人をさらい、法の及ばないその外では大手をふって活動する 国や都市ごとに法律や決まりが異なるこの世界では、それ以外の場所はいわば無法地帯である よってここでアルゴルが人狩りを裁く必要はない だがやはりアルゴルは動く足を止めることは出来なかった 近付くごとにだんだん様子がわかってくる 馬車と5人の男 体格のいい者から細身の長身まで様々だが、皆一様に武器を所持し、腕に自信があるような者ばかりだ その中に一人恰幅のいい、武装していない男がいた おそらくその男が商人 周りが警護の者だろう 目を凝らすとその男たちの前に小さな子供が見えた 商人の男に腕を掴まれ、力無く引きずられている “女の子・・・。” 抵抗する力ももうないのか、疲れ切った顔の少女は無言で男たちに腕を縛られている 近付く 指に走る痛み 近付く 腕が痺れた 近付く 頭が痛む 近付く 足が重くなる 近付く 重みを増し、全身に痛みが回る 「うあああぁーーーっ!!」 全てを振り切るようにしてアルゴルは男たちの方へ駆けていった
/160ページ

最初のコメントを投稿しよう!