889人が本棚に入れています
本棚に追加
一瞬にして海の底のような沈黙が辺りを制した
目を見開く教師
動けぬ男子生徒
手を口にあて、固まる女子生徒
そして顔面をひりひりさせながら、うつぶせで倒れたままのアルゴル
この重い沈黙を破ったのは、他でもない、アルゴル本人だった
「ったー。痛い。」
ふらふらと立ち上がり、顔を抑える
アルゴルの心の中で何かが抜け落ちていた
それを拍子に男子生徒の笑い声が響く
続いて何を感じ取ったのか、女子生徒のテンションの上がった囁き声
最後に教師のため息だった
「おい、アル、大丈夫かよ!?」
「確かにお前ぶきっちょだけどさ、まさか剣ひとつ使えないとは思わなかったぜ!」
「ア、アル、可愛い・・・。」
アルゴルは自分の周りに笑いながら集まる男子の笑い声や、かすかに聞こえる女子の囁きを、どこか遠いところで聞いていた
静かに、視線を男性教師のもとへ向ける
片手で顔を抑えていた教師が顔を上げ、真っ青な表情で自分を見つめるアルゴルと目があった
すると男性教師は顔を抑えていた方の手で、親指をたてアルゴルに見せた
「補習決定!!」
刹那、アルゴルの時間は止まった
「い、嫌だーーーっ!!」
最初のコメントを投稿しよう!