889人が本棚に入れています
本棚に追加
人狩りとはその名の通り、人を狩り、そして売る、人身売買の商人のことだ
基本彼らは普通の商人になりすまして国や都市の中で人をさらい、法の及ばないその外では大手をふって活動する
国や都市ごとに法律や決まりが異なるこの世界では、それ以外の場所はいわば無法地帯である
よってここでアルゴルが人狩りを裁く必要はない
だがやはりアルゴルは動く足を止めることは出来なかった
近付くごとにだんだん様子がわかってくる
馬車と5人の男
体格のいい者から細身の長身まで様々だが、皆一様に武器を所持し、腕に自信があるような者ばかりだ
その中に一人恰幅のいい、武装していない男がいた
おそらくその男が商人
周りが警護の者だろう
目を凝らすとその男たちの前に小さな子供が見えた
商人の男に腕を掴まれ、力無く引きずられている
“女の子・・・。”
抵抗する力ももうないのか、疲れ切った顔の少女は無言で男たちに腕を縛られている
近付く
指に走る痛み
近付く
腕が痺れた
近付く
頭が痛む
近付く
足が重くなる
近付く
重みを増し、全身に痛みが回る
「うあああぁーーーっ!!」
全てを振り切るようにしてアルゴルは男たちの方へ駆けていった
最初のコメントを投稿しよう!