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店のなかに入るともうすでに何人かちらほらと客が入っていた
店内の様子はというと、小綺麗ないまどきの感じで少し狭いながらも落ち着きのある雰囲気だった
しかし店内にはアルメリアの姿はなかった
アルゴルは辺りを見渡す
すると食器の割れる音が奥の部屋から響いた
覗いてみると皿を割り、慌ててつまみあげようとしているアルメリアの姿があった
「っ!・・・ったー・・い。」
どうやら破片で指を切ったらしい
指を口に加えている
「はあ・・。・・・ってあ!!軟弱男!何ぼけっと見てんのよ。早く仕事しなさい!それに勝手に衣装変えてるし・・・。」
アルメリアはわざとらしくため息をつくとまた、砕けた皿を片付けようと手を伸ばした
アルメリアの指が破片に触れる直前にアルゴルの手がアルメリアの腕を掴む
「ダメだって、触っちゃ。ほら指見せて。」
アルメリアは急に腕を掴まれ、振り払おうとしたが、意外にもアルゴルの力が強くてできなかった
「・・ん・・・。」
「あー、これくらいなら大丈夫。後は俺がやるから他のことやってて。」
「へっ・・?・・なっ!?・・・うん。」
ばっかじゃないの
そう言おうとしてアルメリアははっとし、渋々頷いた
アルゴルのぼーっとした顔に、有無を言わさぬといった力強い光をたたえて目だけが心配そうに見つめていたからだ
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