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アルメリアはだんだん血の止まってきた指を見つめていた
“確かにあいつはカッコイイっちゃあ、カッコイイよ。でも剣のひとつも使えない軟弱男だし・・・。”
アルメリアは剣術の教師の娘
剣術の稽古は親子間の一種のスキンシップであり、おかげでアルメリアはアミーシャの下手な学生よりも剣の扱いは上手かった
私より弱い男なんてありえない
そんな気持ちすらも持っていたのだ
アルゴルを認めるのは困難だった
しかしその気持ちも今は揺れていた
「ったーー!?」
ガンッといった鈍い音と一緒に小さな悲鳴が聞こえる
慌てて覗き込んだアルメリアは心の揺れを取り払った
アルゴルがひじを抑えながら指をくわえている
どうやら誤ってガラス片で指を切り、飛び退いたときに机で打ったらしい
隠してはいるが微妙にアルゴルの目は涙目になっている
アルメリアは白い目で見た後、大きなため息をついた
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