序章

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かちゃかちゃと金属のこすれあう音が、廃墟と化した建物内に響く 壁は所々壊れ、天井の古びた電球も二度と自らの役目を果たすことはなく、ただ虚しくぶら下がっていた 塵と砂が堆積した床の上を歩く一人の少年がいた 小柄な身体に灼熱の炎のような赤髪、闇夜にでも光る金色の瞳、すっきりときれいな鼻に小顔の顔 どきりとするほどに美しく、あえて見ればかわいらしくもあるその容姿はまるで少女のようだった その少年は黒い大きめの上着を羽織り、黒いズボンをはいていた 黒い大きな上着の下の、時折見える鎧が建物内に響く金属音をたてていた その少年はまっすぐ、全くの垂れ込めた暗闇の中を躊躇なく進んでいく その丈夫そうな厚手の靴をはいた足は、自然な動きで足元の瓦礫を避ける 足がまた瓦礫を避けようとしたその時、地面が揺れた そして今までの静寂を吹き飛ばすような轟音とともに、少年の横の壁が爆発した そのまま少年はもう一枚の壁を突き破り、建物の外に投げ飛ばされてしまった さっと受け身をとり、身体への衝撃を逃がすとそのままくるりと回転して立ち上がった 破壊された2階の壁の穴から巨大なミミズのような化け物が現れた
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