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「コーヒーとオムレツ。コーヒーはブラックでお願い。」
女性は手短にそう言うと、足元のかばんに手を伸ばし、また新たにノートを取り出している
ルディの学生なのだろうか、ティエンに所属するアルゴルにはさっぱりわからない問題を解いていた
アルゴルはぺこっと頭を下げると、まだ皿の片付けをしているアルメリアのもとへ向かった
「アルメリア、コーヒーとオムレツだって。あ、あとブラック。」
しゃがんでちりとりに破片を掃き入れていたアルメリアはさも不機嫌そうに顔を上げた
「ちょっと今手が離せないの。それくらいやってくれる?あっ、でもコーヒーはコツがいるからオムレツやって。」
アルゴルは口をぽかんとあけてしばらく固まっていたが、ギロリとアルメリアに睨まれて渋々フライパンを取りに行った
アルゴルはたくさんあるフライパンの中からなるべく小さくて軽いものを探した
“・・何て言うか、人使いの荒い子だなぁ。そもそも手が離せないって自分からやりだしてるし・・・。”
ようやくひとつ黒い小さなフライパンを見つけるとぼーっとそれを眺めた
アルゴルはフライパンのふちについた焦げを爪でひっかいた後、諦めたようにとぼとぼと卵を取りに行ったのであった
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