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しかしいざ料理、となるとアルゴルは固まった
いままで料理などろくに作ったこともなく、そのうえアルゴルは自他共に認める不器用
本当を言うと包丁すらほとんど握ったことがないのだ
要するにアルゴルは料理が作れない
しかしアルメリアに助けを求めて見てもキッと睨まれるだけで助けてくれそうな気配は微塵もなかった
“しょうがない。ダメもとでやってみよう・・・。”
煙で茶色くなった白い天井を見上げ、鼻でため息を小さくつくと調理を開始した
「・・やっぱり・・・。」
今アルゴルの目の前にあるのはオムレツというよりもスクランブルエッグに近いものだった
辺りには卵のからが転がり、壁やコンロの周りには白やら黄色のタマゴの一部だったものが散らばっている
「あ、出来た、アルゴル?」
皿を片付け終わったアルメリアが手をふきながらひょこっと現れた
アルゴルは何も言うことなく、そっとそれを自分の後ろに隠した
「どーなの?でもいい匂いもするし、もしかして剣は使えないけど料理は得意ってやつ?ってもオムレツひとつ作れないやつなんていないわよね!」
アルメリアがアルゴルの後ろを覗こうとするとその動きに合わせてアルゴルが体を動かし、背後のものを隠す
そんなことを幾度も繰り返す
いずれ痺れを切らしたアルメリアに体を抑えられ、無理矢理覗かれたことは言うまでもない
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