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女性は固まっていた
というより必死に耐えていたのだ
母性本能を抑えるのに
比較的小柄な身長に細い手足
さらさらの黒い髪に端正できれいな顔
そしてじっと見つめてくる大きな瞳
「あ、あの君・・・。」
「ごめんなさい、でもこのことがわかったら俺クビにされちゃう。どうしよう・・・。」
ふっとうつむき、涙声で潤んだ瞳になるアルゴル
この女性にはそれで十分だった
「っ私!これでいいわ!むしろこれがいいの!私これぐらい崩れてるほうが好きなの!だから、ねっ・・!?」
女性は高揚しながら言う
アルゴルはちらりと女性の反応を確かめるとばれないように小さくほくそ笑み、声のトーンを高くして答えた
「本当!?ありがとう、お姉さん!」
今の女性には語尾にハートでもついてるように聞こえたかもしれない
完璧にノックアウトだった
アルゴルは盆を持って満足そうにキッチンに引き返す
女性は頬を染めたままぽーっとした表情でそんなアルゴルを立ったまま見つめていた
哀れこの女性が今後勉強に集中出来なくなったのは言うまでもない
そして満足げにキッチンに戻るアルゴルを横に通り過ぎらせ、一部始終を見てしまったアルメリアは心の中で叫ぶのだった
“コイツ根っからの小悪魔やろうだ!!”
と
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