一日職業体験

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アイスティーを奥の席に座る中年の男性へと運ぶ アイスティーをいれたグラスが冷たくて気持ちいい おじさんは椅子に深く座り、両手いっぱいに新聞紙を広げ読んでいてきっちりスーツを着こんでいる姿はまさにいまどきのダンディーなおじさんといった感じだった “ああ、あの人だな・・。” アルゴルがおじさんに近づき、グラスをテーブルの上に置こうと手を伸ばした 刹那入口のつまりアルゴルの背後のガラスでできた扉が耳をつんざくような爆発音と共に砕け散った 店内にいた何人かの女性客が悲鳴をあげる あのダンディーなおじさんも飛びのき、腰を抜かして、さっきまでのカッコイイ雰囲気はどこへやら床を這うように店内の奥へと逃げて行った アルゴルも砕け飛んだガラスを避けて今いた右側の席から通路をはさんで左側の席のほうへと移動した アルメリアが何事かとキッチンから顔を出す 片手には使い慣らされた剣を持っていた 店内に恐怖と重苦しい沈黙が垂れ込める そしてその沈黙を破ったのは男の人の荒々しい蛮声だった 「おい、てめぇら!命が惜しかったら動くんじゃねぇ!!全員手ぇ後ろに組んで座ってろ!」 どうやら正体は強盗 相手は4人でそれぞれが武器を持っていて、とてもアルメリア一人が相手できる人数ではなかった 初めなんとか戦って追い返そうと思っていたアルメリアだが、事の優劣を見て、仕方なく剣を床に置き、手を後ろで組んだ
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